内航海運業者は、総トン数100トン以上又は長さ(本稿では登録長を意味する)30m以上の船舶を使用して、内航海運業を営む事業者です(※1)。内航海運業者には、内航運送をする事業者(以下、運送業者)と内航運送に使用する船舶の貸渡しを行う事業者(以下、貸渡業者)が存在します。内航海運業者は、総トン数100トン以上又は長さ30m以上の船舶を所有していなければならず、国土交通大臣の行う登録を受ける必要があります。このため、内航海運業者には、所有する船舶で運送業を行う運送業者(以下、オーナーオペレーター)、所有する船舶で貸渡業を行う貸渡業者(以下、オーナー)、貸渡業者から船舶を借り受けて運送業を行う運送業者(以下、オペレーター)が存在します。
しかし、海事局内航課(以下、内航課)は、「船舶所有者から船舶の貸渡しを受け、自社の雇用船員を配乗後これを内航運送をする内航海運業者へ貸渡す行為のみを行う事業者については、使用する船舶をもって所有する船舶とみなす」 として、船舶を所有しない貸渡業者(以下、みなし事業者)の登録を認めています(※2)。
内航海運業者は、「資金計画」及び「船員配乗計画」 、「船員の雇用契約書の写しその他の船員配乗計画の実施のための準備の状況を示す書類」 の提出が必要です。また、運送業者は、「安全管理規程」の作成と提出が必要です(※3)。
※1 内航海運業法
※2 国土交通省 海事局 内航課,内航海運業法施行規則等運用方針,p8,2005
※3 畑本郁彦・古莊雅生「内航船員育成のための安全管理に関する研究」,日本海洋政策学会誌,第5号,pp.73-92,2015年11月。