外航海運業界では、1980年代後半から1990年代前半にかけて、人的要因(ヒューマンエラー)が原因と考えられる大型海難事故が増加しました。このため、ヒューマンエラーに起因する海難事故を防止することの重要性が国際的に認識されました。
このため、1993年のIMO(International Maritime Organization,国際海事機関)総会において、ISMコード(International Safety Management
Code,国際安全管理コード)が策定されました。
ISMコードの目的は、船舶管理に関して、安全管理体制を確立することであります。ISMコードは、1998年7月から国際航海に従事する旅客船及び総トン数500トン以上の油タンカー等に対し強制適用されています。また、2002年7月1日以降、国際航海に従事する高速旅客船を含む客船、500総トン以上のすべての貨物船及び移動式海底資源掘削ユニットとそれらの運航管理を行う会社に強制適用されています。
ISMコードは、国際航海に従事しない内航船には適用されていません。
しかし、石油業界の荷主やオペレーターは、外航海運業界の動向を踏まえ、ISMコードのような安全運航管理体制を確立することを内航海運業者に対して求めるようになりました。このため、運輸省(現在の海事局)は、2000年7月に「船舶安全管理認定書等交付規則(運輸省告示)」を制定し、申請者が任意に構築した安全管理システムを認証する制度(以下、任意ISMコード認証制度という)を確立しました。
任意ISMコード認証制度では、運航管理要員が極めて少ない内航海運業界の組織に対応するため、ISMコードよりも緩やかな任意ISMコードを定めています。ISMコードの認証機関は、日本政府(Japanese
Government,略称:JG)と一般財団法人 日本海事協会(Nippon Kaiji Kyokai,略称:NK)があります。